LOVEPAIN④

「――まさか、成瀬さんが?」



三咲さんの言った、
人のロッカーを開けて迄盗む、
と言う言葉が引っ掛かる



それに、三咲さんは私の指輪の一件を知っていた




「本人に、訊いてみたら?」


その声や表情がとても冷たくて、
これ以上、私は三咲さんに何かを訊けそうにないのだと感じた




「俺、さっきうわべだけなら友達は沢山居るって言ったけど、
本当に友達なのは成瀬君だけだった。

周りから浮いてて」



「三咲さん社交的っぽいから、
浮いてるなんて」



“――俺も成瀬君もなんか浮いてたから、
浮いた者同士仲良くなった感じで――”


前にもそう言っていたのを、思い出した




「ほら、うち、家が普通じゃないから。
みんな、俺と距離を取りたがる。

広子ちゃんなら分かるでしょ?」


ふっ、と笑うその顔に、見透かされているのだと、
やはり怖い人だなと思ってしまう



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