LOVEPAIN④

「い、いただきます」



私は箸でそれを挟むが、

ナツキはそのまま手で掴み醤油皿に付けると、

そのまま口に放り込んでいた



私もその中トロの握りを醤油皿に軽く浸し、
口に入れようとするが、

高級だと思うと、箸が震える



なんとか無事に私の口に入る、
その中トロ



マグロなんて、
本当に久しぶりに口にする



スーパーでバイトをしていた時に、

余った刺身を鮮魚売り場の職人さんに内緒で貰った時以来




でも、今口に有るのは、
本当にあのマグロなのか?と思うくらいに、

美味しい


私が今迄食べた事のあるマグロとは、

全然違う




「これ、本当にマグロですか?」


そう言った私を、
ギロリ、と大将が睨む




「あ、いえ!
今迄私が食べた事の有る安いマグロとは全然味が違うくて。

本当にマグロとは思えないくらいに美味しくて!」



誤解を解くようにそう説明すると、

その大将はその表情を崩して笑ってくれた





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