Innocent Smile~ずっと一緒に~
「待っててって言ったのに。」
「えー。俺、佐那子と一緒にいたいもん。」
仕事してる時とはまるで別人のように、
私といるとき、恭哉は益々甘えるようになってきてる。
お鍋をお玉でかき混ぜていると、後ろからそっと恭哉に抱きつかれた。
「ちょっと! 危ないでしょ?」
「へへ。ねぇねぇ、これ、シチュー?」
目の前のお鍋の中身を指差して尋ねる恭哉。
「うん。ビーフシチュー……市販のルゥで作っただけよ?
会社終わって買い物行って、それから作るんだから、
たいしたものじゃなくて悪いんだけど。」
これでも、煮込む時間も要るから、帰ってきてから大慌てで作ったんだ。
「いいよ、佐那子が作るものなら!」
「フフ。そんなこと言っちゃって。
口に合わなかったら、どうするのよ……」
「いや、合うでしょ。
それに、佐那子と食べるってことが重要なの!」
力説しながら、私に後ろから軽く抱きつき、
肩に顎を乗せている恭哉に、私はイジメるネタを思いついた。