Innocent Smile~ずっと一緒に~

俺は、なんてゲンキンなんだろう。

この瞬間、あの人がいるんなら……
この会社に入ってもいいかなって、思ってしまった。


そして、俺はとても自分らしくない決断をした。


俺は、親父の権力が及ぶのが嫌で、
親父の会社に入ることを今まで拒んでいたのに……


一度だけ、このときだけ……

俺は入社の条件と引き換えに、親父に権力を使わせた。


『入社するなら、俺の配属は販売促進部で。』と。


親父はただ、「そうか」とその条件をのんでくれる。

社内見学をした後で、俺の会社への印象が変わったと、そう思ったんだろう。


確かに、変わるには変わったが、
俺を変えたのは、会社でも親父でもなくて、

……あの人だ。


4月からあの人と一緒に働くんだと思えば、親父の会社だということも我慢できる。



それくらい、また……あの人に会いたい。


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