Innocent Smile~ずっと一緒に~
彼女が私に視線を移す。
「並木…佐那子さんですよね?
えっと……初めまして。総務課の永野千夏です。」
ペコリと笑顔で会釈された。
「総務の……永野、さん…」
今朝も偶然耳にした名前だったけど、私は彼女の顔を今まで知らなかった。
このとき会ったのが初めてだったから。
会社の制服に身を包み、目がパッチリとした可愛い子だ。
この子が、例の……
「えっと……恭哉くん、永野さんと行ってきたら?
午後の仕事までに、戻ってきてくれたらいいんだから。」
「佐那子さん?」
恭哉が途端に不機嫌そうな顔つきになった。
不機嫌になりたいのは、こっちのほうだって!
そう思いながらも、永野さんの前だったので、できる限りの営業スマイルを試みる。
「早く行かないと、時間なくなっちゃうわよ!」
私は恭哉を出入り口のほうに向け、背中をグイっと強く押す。
振り返った恭哉はものすごく拗ねた顔をしていたけれど、それを笑顔で見送った。