Innocent Smile~ずっと一緒に~
穏やかに話を聞くお父さんとは対照的に、
お母さんは口をあんぐりと開けたままになっていた。
鳩が豆鉄砲って、こういうのを言うんだろう。
「ちょっと佐那子! 待ちなさい!」
「え?」
「本気で北京なんて行くの?!」
「…うん。まだ…内示の段階だけどね、行くと思う。」
「断りなさいよっっ!!」
必要以上に急にお母さんの声が大きくなって、思わず体がビクっと反応した。
「……なんで? お母さんは反対?」
「反対よ! 反対に決まってるでしょ!
大体、女がひとりで海外勤務だなんて~!」
「大丈夫よ。
向こうにはもちろん同僚だっているし、一人ぼっちってわけじゃないんだから。」
「そんなことくらい、お母さんだってわかってます!!」