聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
第七章 悲しみ

世界。

最初にそこに在ったのは、光だろうか。闇だろうか。

ただそこには光と闇が在った。

照らすものと、照らされるものが在った。

照らすものはやがて光神となり、照らされるものはやがて闇神となった。

二人は兄弟だった。

世界から、生まれし者。世界を世界たらしめる原理を身に帯びた者。

世界は世界であるがゆえに、常に生み出しゆくもの。変化しゆくもの。だからやがて世界はふたつに分かたれ、片方に星が生まれ大地が生まれた。

光神と闇神の兄弟は、それをもう片方の世界から共に見守ったのだ。

そこで最初に美しいものを見た光神は、愛と喜びの神となった。

滅びと血を見た闇神は破壊と殺戮の神となった。

常に生み出し、変化しゆく原理ゆえに、光神の愛の息吹より星麗が生まれ、闇神の破壊と欲望の息吹より魔月が生まれた。

やがて戦いが始まった。

300年に渡る長き戦い。

それでも光神と闇神の力は、使い尽くされることなどありえなかった。二人は世界そのものなのだから。

ではなぜ、二人の神は決戦の時を3000年の後に、託したのであろうか?

その謎を解く鍵は、二人の王に託されている。

今向かい合う、星麗―人間の王と、魔月の王に。
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