あたしこそが最愛最高の姫である






そしてそこから数分。






ギリギリちょうど待ち合わせの時間に間に合えば、既に相手は待ってくれていた。







「ごめんねっ!お待たせ……」






あたしに気づき振り向いた彼の姿に少しびっくり。






今までと全然雰囲気が違った。






今までは何だか優しそうな印象しかなかったけど…、今日は私服のせいかクールだ。






でも今までと変わらない笑顔でニッコリとほほ笑まれる。








……少し、その顔は赤いけど。








「大丈夫、そんなに待ってないからさ」








そしてそのまま彼の隣に立ち、早速行こうとばかりに首をかしげる。







やつらは待ち合わせ場所を知っているから追いつかれたら今までの計画が台無しだ。







あいつら、和矢君に全部暴露してあたしと彼との接点を消そうとしている。








まだそんなワケにはいくか。






暴走族をあたしに取り込まなければ。









「えっと…じゃ、行こうか」






彼は少し照れたように自分の髪をいじる。





そして、







「……今日の美玲ちゃん、すっごく可愛い」







当たり前でしょーにと、思うようなことを彼は存分に照れながら言ってしまった。







……何で照れるのかはよくわからない。







普通は言われる方が照れるはずなんだけどなぁ…。






言われ慣れすぎて何も感じない。






心では結構ひどいことを思いつつも、地面を見つめて照れてますアピール。






……あれ、あたしどんなキャラ目指してんだっけ。






一瞬冷めすぎている心で冷静に考えると何か怖くなった。





このままだとツンデレといういけない路線に走ってしまいそうで。






今日は可愛い系極めよう。








ゆっくりと顔を上げ、和矢君の顔を見て少し恥ずかしそうにはにかむ。








「……ありがとっ」






すると和矢君は更に顔を真っ赤にし、バッと横を向いた。






「じゃ、じゃ行こうか!」






「う、うんっ」








……なんだこれ。







どれだけ純粋!






あたしキャラ何か違う!





間違ってる!







心の中では訳の分からないことを思いながらも、表面は笑み。








そしてゆっくり歩いてくれる紳士的な和矢君と一緒に待ち合わせ場所を去った。








……色々危ない。








まぁあいつらの魔の手からは何とか逃れられた。







デートの内容は何も伝えてないから分からないはず。







それでも見つけてしまうような男たちの集まりだから怖いものだ。











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