【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
別にやましいことをしていた訳じゃないけど、やっぱり少し、気まずくて。
そんな俺に何かを感じ取ったのか、恵梨が呟くように「もしかして、……木村君?」と零した。
「……うん、まあ……」
「あ、はは。いつの間に、仲良くなってたの?」
「や、仲良くはなってない」
──恵梨、気付いてる?
恵梨の目がさっきから泳いでる事。
その乾いた笑顔も、引き攣ってることも。
恵梨の乾いた笑顔に合わせるように、俺も軽く作り笑いを浮かべてみせた。
ギクシャクしたぎこちない空気に、やっぱりバカ正直に答えるんじゃなかったな、なんて人ごとのように考えて。
ごめんね。
これからデートだっていうのに。
楽しい時間が待ってるっていうのに。
「……恵梨」