【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




──ごめん。


「俺とアイツが何話してたのか、気になる……?」


こんな意地悪な質問をする俺を、許して。


少し首を傾げてそう訊くと、え、と恵梨が固まる。


「何話してたのか……って……」

「うん。俺達が話してた内容。知りたい?」


知ったら、どうするのかな。

木村が本当は恵梨の事裏切ってなかったんだよって。

今でもまだ、心から恵梨の事好きなんだよって。


──知っちゃったら、恵梨はどうするんだろう。


まあ俺は、狡いし、臆病だから。

自分からは教えてあげないけどね。


恵梨は暫く戸惑ったように俺を見つめていたけど、ふと、その視線を逸らした。


「そんな……いいよ、教えてくれなくて」


だって私には関係ないもの、と笑う恵梨。


ねえ恵梨、それ、誰に言ってるの?

まるで自分に言い聞かせるみたいな声色。



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