【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
図書室に入ると、沢森はいつものようにそこに居て、先に勉強を始めていた。
俺が来るのを当たり前のように待っててくれる沢森が可愛くて。
「ごめん、待たせた」
「そんな待ってないから大丈夫です。今日は105ページからですね」
「ああ……」
パラパラと教科書を捲る。
教科書にはところどころにマーカーで印が付いていて、重要な所には沢森の字で丁寧に説明が添えられている。
なんか教科書に沢森の字があるだけでにやけそう、とかいったら引かれるかな。
「じゃかここの訳から始めますね」
最初はとなりに沢森が居るだけでドキドキしすぎて気が散っていた俺も、なんとか耐性が出てきたのか勉強に集中出来るようになっていた。
その日もそれから二時間ほど勉強して、お開きとなった。
「はー、やっぱ凄い分かり易いわ。ありがとな、沢森」
教科書を鞄に仕舞いながらそうお礼を言うと、沢森も少し微笑む。
「いえ、お役に立てたのなら良かったです」
「じゃ、帰るか」