【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
二人でそうやって、何度もお互いの気持ちを確かめあった。
絡めた指に力をこめて、もう離すものかと。
ただただ、幸せだった。
夏の終わり、俺達の仲は急進展した。その日は俺が沢森を夏祭りに誘っていて、俺も沢森とデートできることに心を弾ませていた。
どのくらい心を弾ませていたのかというと、朝母親に、「なんだか機嫌いいわね、あんた。気持ち悪い……」と白い目でみられるほどだった。
約束の時間になり、待ち合わせ場所にいくと、既に沢森──らしき人物はそこにいた。
沢森かどうなのかは自信がなかった。
だってそこに佇んでいた女の子は、眼鏡もかけてないし、髪の毛も可愛くまとめられているし、浴衣姿だったから。
いつもサイドテールにされていた沢森の髪の毛は、お団子にされて、綺麗なうなじに後れ毛がかかっているのが色っぽい。
その華奢な体に合う桜色の浴衣。