【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




今はもうお家に帰ってる、と微笑む沢森に安心する。


良かった。無事だったんだな、あいつ。


「とりあえず簡単な検査しますね」


医者がそう言い出して、沢森は一旦退室した。


それから、自分の名前と住所は言えるかとかそんなんばっかきかれて、馬鹿にされてんのかと思ったけどどうやら記憶障害の心配をされてたらしい。


それほど強く頭を打ったってことか……。


簡単な検査が終わると、母さんと父さんと、それから沢森一家。そしてまさかの土屋までそこにいた。


「……おい、あからさまに嫌そうな顔するなよ」

「いやだって……なんでお前ここにいんの?」

「なんたって今日はクリスマスだからな」

「あーはいはい。惚気ね聞きたくねえわ」


わかったわかったと耳を塞ぐ。


……でも、折角のクリスマスデートを邪魔したのは悪かったかもしれないな。


「なんだよ、不貞腐れるなよ」


土屋が苦笑いしながらそう言って、どっちかというと不貞腐れたいの俺だから、と訳の分からんことを言い出した。


「どういう事だよ」

「……教えない。本人から聞きな」

「は?」




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