【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
本人って、なに?と俺が怪訝そうな顔をした時。
「……っこの、バカ息子ー!!」
「!?!?」
突然母さんがそう怒鳴りだしたかと思うと、俺に抱きつきてきた。
「は!?え、ちょ、何」
いきなりすぎて、頭が追いついていかない。
……なにがどうなってるんだ。
「つか……泣いてる?」
母さんの肩が小刻みに揺れて、小さな嗚咽が聞こえてくる。
こんなに取り乱した母さんを見るのは初めてで、困って父さんに目で助けを求めれば、父さんは笑いながら肩を竦めるだけだった。
「おい、なんだよいきなり……」
「あんた……っ、いきなり病院から連絡きた私の気持ちわかる?」
「……ごめん」
「人助けはいいけど、自分が助けられる立場になっちゃしょうがないでしょ……!心配させないでバカ!」
「……うん」
もう一度、ごめん。と呟いて、俺にしがみつく母さんを抱きしめた。
心配、してくれたんだよな。
もう母さんにこんな顔して欲しくないから、これからは少し気をつけよう。
──一週間後。
目が覚めてからの二日間くらいはバタバタと慌ただしかったけれど、それを過ぎると暇になった。
病院じゃする事もなくて、そんな今日、待ちに待った退院当日。
十時頃に母さんが迎えに来てくれるんだっけ、と時計を見ると、まだ一時間ほど時間がある。
「暇だな……」