シーソーゲーム
「行こうよ。来年はもう受験生だし、もう遊べないんだよ」

「そうだな…それなら、波和さんも行くか?」

「え?私?」

 突然振られたミズは戸惑っていた。私たち幼馴染の間に割って入るというのだから、不安も積み重なるだろう。それも尋常じゃないほどの。

「いいじゃん。たまにはあんたもいいこと言うわね。ミズも行こう」

「たまには、って…」

「そ、そう?」

 私の一言で決めたようで、戸惑いの顔もにっこりと笑顔一番を見せた。

「じゃ、お言葉に甘えて、行くことにするわ」

 ミズは少し大人びている。周りと比べて一つ先に成長しているような、一人だけ雰囲気が違う。話し方も大人みたいな口調で、私や他の女子よりも先を歩いている。その何歩か先に歩いているミズが、時々遠くの存在に感じられることがある。

「そうだ。岸さんも誘うか?」

 またリョウは余計なことを。

「…き、きっと…用事があるって」

「そんなの聞いてみなきゃ分からないじゃないか。岸さーん」

 ああ。絶体絶命だ。今まで策を練るに練った予定が。ルイに用事が訪れよ、幼児が訪れよ、訪れよ。

 ルイは何も知らずにやってきた。

「岸さん。一緒にキャンプに行かないか?」

「え…それっていつ?」

「そりゃ、そろそろ夏休みだし、だから夏や…」

「ごめん。夏休みはちょっと…」

「え…まだ何も…」

「じゃあね」

 冷たくさっそうと去ってしまった。

 そのルイの態度にリョウは唖然となった。

 正直私も驚いた。私が案じたとおりだったのはよかったが、まさかその通りになるとは思わなかった。思惑通りとはこういうことか。それにしても、ルイは用事がさっきできたように見えたが、実際どうなのだろうか。ルイの意図が読めない。

 とりあえず、ルイがキャンプに行けないということなので安心した。私はこの運を見方に、自分の計画を実行使用と自身を持てた。
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