シーソーゲーム
「いきなりだけど…私に付き合って」

「…え…何?いきなり」

 放課後、用事があると作って先にリョウとミズキを家に帰らせてから、昼休みに呼び出したミズと、とある喫茶店風のカフェ店にて落ち合った。そしてしばらく、紅茶を飲みながら会話を楽しんでいた。それをしばらくしていた。

 そして私は言い出す決心をし、紅茶を飲み干してから言い出したのがこれだった。

 しかしこの意味がまったく分かっていないようで、ルイは私が変な告白をしたと捉えたようだ。目がそう言っている。あの話し方では、ミズに誤解を招いてしまったようだ。

「いや、そういうことじゃなくて…ほら、キャンプでさ、ちょっと頼みたいことがさ…」

「ああ、キャンプの頼みごとか。私はてっきり…」

「いや、それはどうでもいいんだけど…」

 私は練った計画、私がリョウのことを思っていること、今までどれだけリョウのことを見てきたかということ、そしてそこで行うすべてのことをミズに話した。ミズは最後まで深刻に聞いていてくれた。信頼できるからこその行動なのだが、果たして承諾してくれるだろうか。

「…別に、さ。構わないけど…でも…」

「でも?」

「いや。何でもない」

 そしてミズは吹っ切ったように言う。

「うん…いいよ。私…頑張ってね。できるだけ、協力する…あ…もう暗い。私、帰るね。はい、これお金。私、先帰る。じゃあね」

「ねえ。それなら一緒に帰ろうよ」

「いや…私、寄りたいところあるから。じゃね」

 ミズは足早に店を後にした。ドアが閉まる時、虚しくカランカラン、と鈴だけが音を残した。机上には小銭と空と半分まで残っているカップだけがあまり、小銭はこれでは絶対私の分まであるだろう、というほどあった。

 何だろう。今日のミズは何だかおかしい。

 私はとりあえず、会計を済まして店を出た。

 ミズが言うほど、外は暗くはなかったが、夕焼けがきれいだった。オレンジ色のその温かい暖炉のような明かりが私を応援しているようで、気持ちが高揚した。

 そして帰路に着いた。

 私はいよいよの夏休みに興奮した。きっと楽しく、有意義な時間になるだろう。キャンプの日が遠くて遠くて、いくら走っても追いつけないような距離にさえ気がした。
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