シーソーゲーム
 そして何か話題がないかと考えていると、特にない。はっきり言って、毎日一緒にいるわけだから、リョウも私の周りで起こったことを知っている。しかし昔のことを思い出して話してみるのもいい。

「昔から同じキャンプに来続けてるけどさ…」

 私とリョウは何駅も何駅も通り越して、話し続けた。最近のちょっとした発見や昔一度話したこともあることもすべて、一緒になった幼馴染から今まで起こったことをすべてひっくり返すように、思い出を掘り起こした。それも話を絶やさないため。

 すると突然、電車は急ブレーキしたようで、私はバランスを崩して、リョウの肩に寄りかかってしまった。私とリョウは無言のまま、少しの間、そのままでいた。

「おい…いつまでやってんだ」

「あ、ごめん…」

 私はすぐに体を起こし、うつむいた。

 もっとあのままでいたかった。もう一度ああなりたい。

 私の頭の中は妄想と欲望に駆られていた。すっかり自分がリョウと話し続けることを忘れていた。

 そのことに気付かない私は、しばらくどうすればまたああなれるかを考えていた。もうすでに目的は違った。ずっとそばにいたいのではなく、触れたいと。

 昔からよくボディタッチなんて、しょっちゅうの出来事だったが、今この年齢になり、そのことを思い出すと、体が熱くなる。しかしそれは私にとって、一番の安らぎであり、一番の喜びとなっていた。

 急ブレーキがかかってから二駅ほど行くと、一つの案を思いついた。

 私はその駅を出発しようとする電車と同時に実行することにした。

「ああ。何だか眠くなっちゃった…」

「おいおい。あと二駅なんだから、我慢しろ。ほら」

 リョウの肩に寄りかかろうとする私の頭をリョウは無理やり起こした。確かに後少しの辛抱であれば、相手も我慢しろというだろう。

 しょうがないと思い、それはバスの中で実行することにした。

「着いたか。やっぱり、誰もいないな」

 そこはあまり大きくない駅。プラットホームと言うには程遠い、ただ屋根とベンチ。それだけがあれば十分だというような駅だった。周辺には水田や畑に囲まれ、比較的田舎町というのが正しかった。

 だって、においがちょっと、土のにおいと肥料のにおいが漂わせているんだもの。
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