シーソーゲーム
 しかし俺は試してみたかった。四月にアズサが変貌してから今に至って色々とあった。それがもし続いているシンドロームなら、今回もそうだと感じられた。今日の小海にしろ氷野にしろ、今年は変なことが立て続けに続いている。こんなことは今までないし、あるはずがないと思っていた。望んでさえもいなかった。だが望んでいた。

 それは俺がいつかこの世界がもっと面白ければいいと思っていた時だった。ゲームの主人公や世界が真っ二つになったらなんては考えていない。ただ、少しの刺激があればいいと思っていた。ほんの小さな衝撃でもいい。この世ではありえない小さなことが起こればいいと思っている。小さな発見。それが俺の望みだった。だが今ではそんなことを望んでいなければ、実現しないほうがいいと思っている。それがもし起こってしまったらという恐怖があったのかもしれない。自分のことなのに、本当の気持ちがまったく分かっていなかった。

 しかしここにあるチャンスを逃すべきか。面白いことが起こる予感がした。だが相変わって恐怖という理性が俺の欲を押さえつけようとしたが、好奇心が食って掛かった。そのおかげで俺は何もためらわなかった。

「それなら、今日の二人は一体何なんだったんだ」

 澁はこのことを知らないはず。この質問で試すことにした。知るはずがない。知っているはずがない。どんな返答が来るか楽しみだ。

「…それは、彼らが神からの使命により実行された行為。私とは独立された、神からの勅使。特別な能力と命を与えられ、そしてそれぞれが過去を持ち、選ばれてなりえた神仕者。神により召集された者たち…」

 もうわけが分からない。これは澁が作った何かのゲームなのか。あいつらはこう澁がずらずらと言葉を並べたとおりのお偉いお人なのか。

 それよりも澁の解釈は違っていた。

「いやいや、そういうことじゃなくて、あいつらが言ったことなんだが…」

「…彼らの言ったことはすべて神の命を受けて述べたこと。神が望んだことをやりえたまで。彼らが言ったことはすべて正しい。だが一つ抜けていた。魔法使いや錬金術師を守っていたのは超能力者であった。しかし今ではそれらが絶えかかっている。限界がある。小さな集団だった。彼らの世代交代が始まると、彼らは絶えた。今残るのは一部であるということ…」
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