シーソーゲーム
 しかし澁の言葉に引っかかる部分がある。地球に住む人間とは違う人間。つまり地球には存在し得ない人間。いわゆるこの地球には存在しない人間。宇宙から来たとでもジョークを吹っかけたいのだろうか。

「それでその人間が何のようで」

「…私は神を観察するために来た者。この地球のシステムのデータを集め、本部に送る仕事を任された者…」

 来た?これははたしてどういう意味か考えることはない。だがこんなことは信じられない。これではSFや小説、マンガの世界だ。そんなことはありえないと自分は否定する。それもそうだ。今まで生きてきて養った教養が全否定されるようなものだ。こんなことはありえない。宇宙戦争なんてない。地球侵略なんてない。NASAは宇宙人と交信していない。

 今での常識が覆ること。それは俺が生きてきたこの地球上の天地がひっくり返るということ。まさに足を天高く持ち上げられ、頭から地面にたたきつけられたような感じだ。

「…つまり、何だ。お前は自分を…宇宙からの来襲とでも言うのか」

「…来襲じゃない。調査。それが目的…」

「つまり…宇宙人だとでも…言いたいのか?」

 澁は縦にうなずいた。

 俺は何も言えなかった。何の目的でこんなことを認めるのか。こんなユニークなことを言うやつは山ほど見てきたが、自分が宇宙人だといったやつは見たことがない。それに、この会話は何だ。知らないはずのことを知っているは、あたかも自分を宇宙人だと知ってもらうための誘導をしているようにも思えた。

 俺が口を半開きのままにしていると、澁は自分から語り始めた。

「…私はこの地球を調査するために宇宙から来た。それは私の住む場所がまだ不完全で、基盤がはっきりとしていないために派遣された者。そして私は生命の住む星を探した。それがここ。私の住む環境の条件と似ているこの土地に目をつけた。しかし入れなかった。私を受け入れなかった。それは私ではどうしようもないことだった。だから私は調べた。どうやったらここに入れるか。そしてここを統治し、治安を保ち続ける神の存在を知った。私はその神と交信し続けた。そして面会はせず、すぐに入れることになった。しかし条件があった。神に協力すること。それがここにいられる条件。だから私はあなたにこれを伝える。今から言うこと。神からの伝言…」
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