シーソーゲーム
 だが澁は顔色一つ変えなかった。

「…人間と考えることは同じ。偶像の神は人間が作った。統べる神も望んだとおりに生まれたもの。外部から力を加えられたものではない。人間の意志で作られたもの…」

「だがな、それだったら偶像の神はいらないじゃないか。みんな知ってたんだろ」

「…知っていても知らないことはある。思っていても知らないうちに行われていることがある。苛政は望まれないが、善政は好まれる。それと同じ。望まれることが現れた結果。だがまだ支配者はいる。統治者が支配者を支配するから。望まれたとおり神は生まれたが、そのことは誰も知らない。神は知られずに生まれた…」

 淡々と話を進めようとする澁だったが、ここで一旦話をやめた。何でやめたのか分からない。

 俺はこの間に澁の話したことを整理した。つまり神は誰にも知られていない存在で、なら神とはどういうものなのだろうか。疑問は膨れ上がっていく。

「それなら、神ってどんなのなんだ?やっぱり存在しないとか」

「…そう。存在しない。物体でも存在でもない。あなたたちの欲。それらが神を創るための材料。人間が意志で示したから生まれた、存在ではない存在…」

 存在ではない存在。どういう意味だろうか。最終的には存在しないのか。

「なら、どこにいるんだ?」

「…人間の心の中にいる。生まれて物心ついた時、もうすでに存在している。そしてそれらは変わっている。一人一人個性があるように、神も違う。だが、たった一人、絶対神が存在した。神より上を行くものが生まれたから…」
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