シーソーゲーム
 それっきり何も話さないでグラウンドへ向かうと思えば、ミズキから積極的にまでとはいかないが話しかける。それで俺も応答のみだけでは申し訳なく、話題の拡大を目指して広げる努力をするのであった。しかし無理にするだけでは面白くない。俺も無理にするつもりではないが、今日のミズキとの会話はいつもより面白いものだった。

 試合は二試合目となっている。グランドにはもう大体のメンバーはそろっていた。もちろん小海や氷野、アズサもだ。今のうちにグランドのすみでウォーミングアップをしてしまおうと思い、ミズキにそう提案した。

「そうだな。そうしたほうがいいかもな」

 小海や氷野が恐くて俺は近づけない。恐いというのは恐怖という意味ではない。煩わしいという意味でもない。敬遠したい人物だというのは間違いない。

 だがそのことまでは知らないか、ミズキは止まった俺の足を見てもその集団の元へ行こうと言い続けた。

 俺もさすがに考えた。これからこうやって生きていかねばならないのか。それはない。関わらねばいいのだ。離れて接さないようにすればいいのだ。

 そう考え、俺はやっとその集団に混ざることを決めた。

 ミズキは俺の提案したとおりを皆に告げた。それは提案した俺がやるべきことだと思うが、ミズキは今の俺を察してやっていることだと思う。俺は素直にその好意を受け止めた。

「どうした、リョウ。顔色悪いぞ」

「体調でも優れないのか」

 小海と氷野は俺のことを心配してのことだと思うが、次にどんな本性を見せるのだろうか。それが嫌でたまらなかった。隠されるのは嫌だが、こういうことは別だ。また、ひどく荒れた彼らを見るのも、目を覆いたくなる。ファンタジーの世界に誘われるのも嫌だ。同じ感性だと思われたくないわけではない。いつかこいつらに、本当に洗脳されてしまうと思ってしまうからだ。本当のようだが信じ難いことを御託のように並べてもらっても困るものだ。セールスマンの勧誘のように、誘導されている気がした。それに乗りかかる自分も恐かった。
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