シーソーゲーム
 とりあえず、早くバッターボックスに入り、構えた。しかし俺もあっという間に凡退。

 またアズサはマウンドに上がった。俺はもうやる気さえも失せ始めているのに気付いた。あらゆる意味でのやる気である。

 そしていつものように投げて三人でぴしゃりと抑えた。

 試合は淡々と進んでいる。

 次のバッターはアズサ。ここまで全打席ヒットであったが、一度もバットを振らなかった。ミズキや水崎に振れと言われても断固として振らなかった。

 二点をリードしたまま四回に入った。

 アズサはまたマウンドに上がる。俺はその場に座り込んで寝てしまおうかと思った。特に朝のように眠いというわけではないが、寝るように何か別のことをしたくなった。こんな試合、はっきり言ってどうでもいい。

 本当につまらない試合だ。初回二点きり、点は動かない。初めから点さえもとっていないように盛り上がらない。相手のチームも追いつこうとしない。面白くない。

 これが野球かというと、絶対違う。誰かが壊している。楽しいはずのスポーツがつまらないとは致命傷以上に崩壊まで危機に瀕している。誰とは言わない。

 気付けば勝ち目前。気合を入れなおして頑張ろうという気にもならないし、勝とうという気も起こらない。嬉しいと思うことがなければ、当然楽しいと思うこともない。

 ベンチだってそうだ。勝っているのにガンバレとだけの声援だけ。バックからの黄色い声なんてない。寂しくしんみりした空気がグランドを制していた。

 こんな試合は大抵面白くなるはずである。追い、追われて、その連続のはずである。まだ二点差はひっくり返せるという気が起きないのか、相手もこの空気に嫌気が差しているようであった。
< 178 / 214 >

この作品をシェア

pagetop