シーソーゲーム
「ああ。でもお前らの分まで頑張る気にはなれねえけどな」

 嵯峨野はベンチに戻った。

 今年の球技大会は終わった。だがまだ他のチームは何試合かある。それは決勝リーグまで勝ち上がり、だがそこで初戦負けのチームだけはない。昨日負けたチームは他のリーグのチームと交流戦らしきことをするらしい。

 俺は切ない気持ちであり、しかし勝ってもないのに喜びの気持ちにあった。それは心のどこからともなく溢れてくるエネルギーのようだった。

 皆はそそくさとベンチを上がった。移動するその中に遅れて一人、歩いているものがいた。

「そんなに落ち込むなって。こんな日もあるさ」

「だって…だって…私のせいで…」

 岸は半ベソをかいて、今泣き出してもおかしくない様子だ。

「昨日はお前のおかげで勝てたんじゃないか。今日はたまたまツキがなかっただけ。お前のおかげでここまで来れたんだぞ」

 どう励ましても表情一つ変えようとはしない。うつむいたままだった。

「だって…だって…今日勝って、優勝して…でも、初戦負けなんて…」

「まあまあ。とりあえず落ち着けって。どっかに座るか?」

 岸は首を振る。

「いや、座ったほうがいいって。ほら、そこに座れよ」

 今度は縦に振る。

 俺たちは花壇の囲いである石のふちに並んで座った。

「…十分頑張ったよ。俺もふがいなかったし」

「でも、あの球…普通なら捕れてた。あれで終わってた」

 励ましは逆効果だった。どうすればいいか。俺は迷った。

 すると岸のほうから話しかけてくるのであった。

「この試合勝って、リョウ君をデートに誘おうと思ったのに…」

「へ?」
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