シーソーゲーム
 周りには誰もいない。助けを求めるにも誰もいないのだからしょうがない。この機器をどう切り抜くか。

「それで、何話してたんだ」

「何でもねえよ。しつこいな」

 さっきからミズキが付回す。岸と話してたところを目撃されてしまったようだ。それもしょうがない。四方八方、壁という植木などがなかったらだ。

「そんなはずないだろ。わざわざ座って話すことなんだろ。で、何話してたんだよ」

「何でもないって。ただ励ましてただけ」

「それであの笑顔か」

「…それよりも、この後さ、何して暇つぶすか」

「ん…何するんだろうな」

 これはチャンスだ。俺は立ち、ミズキに背を向けた。

「おいおい。どこ行くんだよ。何を話してたんだよ」

 ミズキは俺についてきながら同じ質問を何度もふっかけた。

 俺は無視をしながら、俺にとって問題のない質問といつもの会話だけに答えた。ミズキの不満はなくならないようだが、それが俺を守るための最善策だと考えた。

 この後の暇をどう過ごすか。

 ミズキに相談したが、とりあえず、アズサの元に行こうと言った。そうしてもいいが、今会うとなんて言われることやら。仲直りをしたのはいいのだが、試合は結果的に敗戦投手となっている。しかし今は話してみたいとも思っていた。

「んじゃ。そうすっか…で、あいつ、どこにいるんだ」

「探すか」


 それで探すことになったが、探すだけで時間は丸々つぶれてしまった。何時間もあったが、そのうちの一時間ほどしか探さなかった。たった一時間であっても、無駄に時間を過ごしてしまったという意識は強かった。

 その後、ミズキと二人で近くに座って、野球の試合を観ていた。探すよりも待っていたほうが出会う確率が高く思えた。探し物は何ですか。見つけにくいものですか。とか鼻息で歌って。

 しかし結局会えなかった。波和や水崎、小海や氷野が通りかかるだけだった。挙句の果てに澁が少し離れて一人で座る始末。こんなにも違う人と会うなんて珍しいことだ。

 閉会式には会えるだろう。いつの間にか、アズサに会うことだけが目的になっていた。
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