シーソーゲーム
 そしたら今まで探して待っていた自分がアホらしく思えた。今までの苦労はなんだったのか。こんなことで簡単に会えたなら、もっと先に気付くべきだった。

「どこにいたんだ。探したんだぞ」

「何で?何か用があったの?」

 用って言われたら何もない。もともとミズキからの誘いであり、目的なんて暇つぶしのその他はない。

「いや、何も用事がないんだけど…」

「じゃ、何?」

「いや…ただしばらく会って…なかったな、て思ってな」

「え…何、考えてんのよ。そういえばあんたのせいで結局負けちゃったじゃないのよ。どうしてくれるのよ」

「いや…その…あ、始まるぞ」

「あ、こら、逃げるな」

 何を言っているのか分からなくなっている。逃れようとして言った言い訳があまりに変だ。何だ、しばらく会ってなかったなって。自分でも顔が赤くなりそうだ。

 閉会式が終わり、すぐにアズサは俺にけしかけた。

「何なのよ。早く言いなさいよ」

 すぐに背中を小突かれた。

 本当に何も用がないのだが、こんなことになるのであるなら、アズサを探していた自分が変で、滑稽に見えた。今は何も話したくない。これほど厄介に思ったことがない。

「いや…ホンッとなんでもないわ。ただ…」

「ただ?」

 俺はその後の言葉が見つからなかった。素直に言うべきか、何か他の言葉を探してそれでごまかすか。

 そういえば、アズサは今日、なぜこんなに突っかかってくるのだろうか。こんなことは希にしかない。それはアズサが怒っている時、俺が落ち込んでいる時。それだけだ。しかしその双方とも今の状況には当てはまらない。それならなぜ、突っかかってくるのか。頭に引っかかる謎が残った。

「おい、リョウ。行こうぜ…お、アズサ、探してたんだぜ」

 起死回生のミズキの登場。そのおかげで俺はピンチを脱したように思えた。だが、アズサは俺が言った時と同じ質問で返した。

「え…なんで?」

 ミズキは当たり前のように話す。

「そりゃあ、負け試合後の敗戦インタビューと洒落込もうかと…」

 そういう答えがあったかと俺はミズキを感心した。なるほど、と頭の中のメモに書き込んでおいた。
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