シーソーゲーム
「そんなことしたら、土管に詰めて、東京湾に沈するからね」

「はいはい。今日は何かするか?」

「疲れたから、今日は早く帰る。でも明日、打ち上げに行こう。適当に面子そろえておくから、いつもの…」

 ここで言っていいのか、悪いのか、しかし俺は言うしかなかった。

「明日はちょっと…」

「え…何?何か用事?」

「まあな…」

 ミズキに脇腹を小突かれたが、それは俺も言ってはいけないことだと予期していたことだ。俺もミズキと同じ意見だ。こんなことをしている自分は、やっぱり変だ。

「何の用…」

「お前んちのおじいさんが危篤だったよな、確か」

「…あ、そうそう。俺の祖父が今、本当にやばくて…」

「あ、て何よ」

 俺たちは何も言えなくなった。

「まあ、いいわ。じゃあ、明後日ね。それならいいわよね」

 アズサは俺の腹に軽く拳骨を食らわせた。

「じゃ、いつもの時間、いつもの場所でね。ばいばい」

「おい、一緒に帰らないのか」

「うん。今日は用事があるから」

「何だあいつ…あいつだって用事じゃんな」

「ありがとな」

「まあ、気にするな。困った時はお互い様ってな。これで借りは…二個か?」

「お前が借金三個だよ」

 二度もミズキに助けられた。それをすべて一つとしてしか数えてなく、今までの分も換算したから借金三個。

「そんなはずないだろ。二回助けたんだから…」

「今までの分」

「そっか」

 それよりも、ミズキと親友であってよかったと思う。もし違っていたなら、この徐今日はどう切り抜けていただろうか。そっちにも関心があったが、俺は今こうなっているのであるからいいと思った。結果オーライという言葉がある。それが当てはあまるだろう。

 しかしミズキに助けられたと同時に、一つの犠牲を払ってしまった。ミズキに俺と岸が明日にデートすることを感づかれてしまったように思えたからだ。それは感ではない。ほぼ、確かなことだと言える。野生的感が強いミズキであるから、しょうがないことかと諦めた。
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