シーソーゲーム
 そういえばこの時間帯のこの道を走ったのも久しぶりだった。最後に走ったのはいつのことか。もしかしたら中学の最後の部活以来かもしれない。それからはいつもふらふらと浪人のように流浪と生きていた。しかしそれが楽しかったからいつも同じことを繰り返し生きていたのだろう。アズサやミズキが一緒だったからこそ、楽しかった。

 そういえば高校に入っても中学と同様、遊びっぱなし。成績は良いわけではない。だが悪いわけではない。しかしもうそろそろ将来のことを考えねばならない。アズサは何も考えていないというが、ミズキはその次のことも考えている。

 それはミズキに先を越され置いていかれたようで、最近ミズキを見る時の目が違う。俺は何をやっているのか。時々そう考えてしまうのだ。とりあえず今を楽しもうと能天気なアズサと、将来を見据えたように夢を実現に変えようとするミズキ。その対照的な二人を俺はついていこうとは思わない。いや、思えない。本人たちもそうは望んではいないと思う。

 自転車の上で身なりを整えながら、前方から来る空気を大きく吸い、すべてを吐いた。こんなことをしている暇はないのだが。

 そして噴水に着く前にそこで待っている岸を見つけた。ここに着く前にどう接するかを考えておけばよかった。

 しかし岸はその前にこちらに気付いて手を振った。

「遅ーい。もしかしたら来ないと思ったよ」

 その言葉とは裏腹に、顔は笑っていた。アズサとは大違いだ。

「悪いな。寝坊した」

「ふふふ。それじゃ、行きましょ」

 駐輪場に自転車を置き、本人の予定では街に出ることになっているようだ。駅に集合したのはそのためだった。すぐに電車に乗って隣町まで移動する。窓の外が横にスクロールしていくのを見て岸は楽しそうにしている。
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