シーソーゲーム
 今、何が起こっている?今、目の前で、何を話している?俺とアズサがくっつく?神?何の話だ?アズサが神って、どういうことだ?

 文末及び語末に疑問符だらけの言葉が頭を埋め尽くし、危なっかしく浮かび、回り巡る。グルグルと、その場で犬が自分の尻尾を追いかけている。

 生きている心地がしないというような理解できない苦悩。理解しようとしても承諾できない自分。信じていない自分と目の前で飛び交った言葉。矛盾。その二文字が俺の理性を保たせようとしている。

 岸は何を言っているのだろうか。神なんているはずがない。アズサが神なんてありえない。それは人々が作り出した、生きていない、信じられることが目的で作られた偶像だ。神なんていない。

 だがよくよく考えてみないでも甦る記憶。そう。今年の春からの記憶。アズサが変になった頃からの記憶。確か、始業式の次の日だった。

 始業式以前のことを覚えていない。昨日のことさえも覚えていなかった。

 やけに長かったカラオケボックス。時間が変に感じられた。

 次の日に岸という転校生が来るという予言。奇妙だった。

 初対面の岸の事を聞く。家まで呼ぶ理由があったのだろう。

 テストのヤマがすべて当たった。あの時は小海の言葉が気になっていた。

 球技大会における、アズサの覚醒的運動神経。女ではないと思った。

 これらすべてを合わせ、綺麗に洗い流すと、すべて合点するのではないのか。仮にすべてを飲み込み、アズサを神だと認めたとしたら、すべてに筋が通る。岸の言ったことを想像で神の特性という名目でまとめてみたら、神は絶対の力を持つことに至った。何でもできるという力を持つということだ。

 もしそうであれば、あの日から起こった不可思議な現象に説明がつく。もしかしたら、小海や氷野、渋のあれらの言葉はアズサが仕組んだのではないか。逆にそうであってほしい。三人が狂った変人だという観念が固められる。

 すべてがいざこざなスクランブル交差点のように天と地が引っくり返っていた。

「リョウ…クン…」
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