シーソーゲーム
 岸なのか。あの光は、空に昇天するあの光は岸なのか。下にあるこの光も、岸なのか。岸は、ここにいたのか。

 いたよな。ここに足跡もある。アズサもいる。一人でここにアズサがいるはずがない。俺もいる。ここに岸とアズサがいたからだ。しかし岸はどこに。

 俺は目の前にいるアズサを見た。

 そうだ。こいつなら何か知ってるかも。それにアズサの事実を確かめよう。こいつは神なのか。何が神なのか。神とは何なのか。それよりも先に岸だ。そんなことはやはり信じられない。岸は、どこだ。どこにいる。

 俺はアズサに詰め寄った。

「何が…あったんだ…」

 自分でもどうしたいのか分からない。自分という自身を抑えることができないまま、アズサに近付いた。エゴを忘れる。

「…それは、神のルール…神が誰なのかを外部に漏らしてはならない…彼女は知っていたが、間違いを犯した…それだけのこと…」

 すると声は背後からした。

 振り向きざま、渋は目の前にいた。あまりに近くにいたわけではないが、気配もないところから突如現れた。

「お前…いつの間に」

「…ルイは消えた…もういない…そしてあなたは知った…彼女のことを」

 渋は前見たときと変わらない様子でいた。それはあまりに恐ろしい光景だった。しかし渋の言葉を聞いて気になることがある。アズサの疑惑。

「え…何が…だ」

 俺はアズサに直接聞こうとまたアズサのほうを振り向いた。

 すると同時に痛みは感じないが、息ができなくなった。そして体もいうことが利かない。体が石になったように、ストンと地面に向かって落ちる。高いところから落ちたわけでもない。だがそのような感覚に襲われ、意識は遠のいていった。

 意識はない。地面にひれ伏すまでには冷たいという感覚はとうになくなっていた。
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