シーソーゲーム
「そんなわけあるめえよ」

 ミズキは明らかに信じていない。まあ、そんなこと、誰もが信じるはずがないだろう。ここで寝ればいい話だ。

「ほら、見ろよ。ここ」

 いまだに付いている土汚れを見せた。

「どこで寝てたんだ」

「ほら、あそこだよ。焼却炉に行く時さ、壁にはさまれた、狭い湿ったところがあんじゃん。ほら、あそこ…」

「ああ。分かるよ。でもなんで?」

 それが分からないから俺も困っているのだが、やはり知っていることを言うべきだろう。

「いや…分かんねえんだよ、それが」

「そんなことは…」

 延々と続きそうな話。もうそんなこと、今になってはどうだってよくなってしまった。しかしその中でアズサは暗かった。何も話さず、ひたすら俺を見ているようで、そして目が合うと背けるようにする。

 放課後もそう。なぜまたアズサはこのような態度をとるのだろうか。俺から話題を切り出してみるが、乗り気ではないようで、とにかく暗かった。

 そして俺はアズサがなぜ暗いのか考えた。

 するとすぐに一つのことが思い浮かぶ。もしかしたらまだ、あのことが気になっているのかもしれない。

 アズサの告白。それは俺を変わらせた。アズサに対する態度、気持ち、見方が変わった。アズサを見るのが怖い時もあった。

 勇気を出して俺に言ったこと。それが俺に不審な意気のような、雲がかかった心の俺の真意、いや義理のような応対を課せられた。

 それは毎夜考えている。俺が何をせねばならないのか。その心に隠されたことは何か。それが分からなかった。そしてしばらく経ち、そんなことが分からなくても、またアズサと通常といえる毎日を過ごせるようになってきた。

 だがまたこんなことになっている。

 そろそろ俺の答えを見つけなければならないのだろう。しかし見つからない。それは何か。それはとてつもなく複雑なように感じられた。

 今日もどうせ見つからないんだろうな。

 そう思いながらベッドにもぐると、ため息を吐く。今日のこともあるし、アズサのこともある。
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