シーソーゲーム
 後続からミズキも入ってきた。ミズも入ってきた。さらに遅れてリョウとルイが一緒に入ってきた。

「ねえ…起きなよ」

 教室のざわめきではなく、ミズに初めて起こされて私は起きた。

 ミズは微笑んで、そして前を向いた。キャンプのときには見せなかった笑顔で、まるで本当に記憶がなくなってしまったような顔だった。後で聞いてみたが、キャンプに行っていないという。その間は何をしていたのかは覚えていない、だそうだ。それは演技には思えず、マジメそのものだった。

 リョウを見ると、何もなかったような顔をしている。

 始業式を行い、無駄な話を聞いて、教室に戻った。そして午前で学校は終わり、一人で家に帰ることにした。

 なぜだかその日、誰にも一緒に帰ろうとは言われなかった。ミズキにもだ。

 そんな日が三日ほど続いた。朝から何も話さず、ミズと昼食を一緒にとっても私から話すことはなく、帰りも変わらず一人だった。面白くも楽しくもなかった。だが、たった一つだけ、不思議な体験をした。

 始業式の日から三日目だっただろうか。私は一人で帰っていた。

 同じような日々が続く、まったく進歩のない、動こうとしない世界。こんな面白くもない世界を消したい。どうなってもいい。こんなつまらない世界なんて、どうなっても構わない。私自体も、この世から消えたいとうすうす自分で思い始めているのを感じていた。

 そして交差点を渡ろうと信号待ちをしていた。ここの交差点は人通りが少なければ、車も少ない。その交差点で事件は起こった。

 次の瞬間、目の前で起こるにはもっとも確率が低いと思われることが起こった。それは交差点で、青信号を渡っている人がいた。すると一台の車がその人に当てた。人は宙を舞った。対向からも車が来た。トラックだった。今度は、宙を舞っている人はトラックに当てられて、ピンボールのように飛んでいった。地面に叩きつけられた。トラックは目の前に飛んできた人に驚いたのか、ブレーキをして、凄まじい音を立ててドリフトし、そのまま対向の車のボンネットに倒れこんだ。下敷きになった車はスクラップ状態で、やがて、自動車の機関部から火の手が上がった。
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