シーソーゲーム
 それから暇だった。あの恐ろしく永い一夜は今考えると、あっという間だったように思える。暗さがさらに恐怖だった。今はそんなに苦痛にならない。ベッドに寝転がり、眠るだけだった。

 起きた時、耳元に置いておいた携帯が鳴っていた。すぐに鳴り止んだ。そして目を濃すぎながら携帯を開けると、メールの受信が一件。それもリョウからだった。メールを開き、どんな内容かと読むと、何とも短い文だった。

 公園で待ってる。

 本文は空白で、題名だけにそれだけ書かれてあった。

 私は会う気にはなれなかったが、体は覚えているのか、服を選んで外に出た。

 リョウと面を向かって何を話せばいいのだろうか。それが分からない。何をすればいいのか、分からない。自身が無かった。何て言われるかが恐かった。リョウがどんな存在だか、今は昔と変わって、大きく異なっている。兵器以上の脅威を、恐れを感じていた。

 私は自転車に乗り、公園へ向かった。昨日は帰ってから何もしなかった。何も口にしていない。途中でコンビニに寄ろうとしたが、お金を持ち合わせていない。体がだるい。体が水を欲しがっている。だが給水などできない。どんどん公園に近づいていった。

 到着した。この植木越しから覗くと、リョウの姿があった。ブランコに座り、地面を一点、思いつめたような目で見ている。

 私は心の準備をした後、いざ、自転車と共に公園へ進入した。

 リョウは私がきたのに気付かない。影が目の前にあっても気付かない。

 私はできる限り、いかにも元気なように振舞った。

「よ。元気?」

 リョウはやっと気付き、ああと言ってから隣のブランコを指差して、座れよと言った。

 私はその通りに座るが、不思議と何も起こらないで欲しいと思っていた。先のことが予知できる、とでも言えるだろう。そんな嫌な気がした。

 しばらく沈黙の後、リョウが話し出す。

「そういや、大丈夫か。体調は」

「う…うん。大丈夫…平気」

 何を言い出すのかと思えばこんなこと。電話でもできる。だがこれだけでは終わらないと分かっていた。
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