シーソーゲーム
 また沈黙。今度は長い沈黙だ。

 こうなったら私が切り出してやろう。私も聞きたい事があった。ルイとの関係。始業式の日から、いつもルイと一緒に登校して来ている。それが気になっていた。よし、話そう。

 話し出そうと口を開けた時、リョウは先に言った。

「俺…怒られたんだよ。ミズキに」

「え…」

 分からなかった。なぜミズキが怒るのか。そしてなぜこんな話になるのか。

 リョウはさらに眉間に深く刻み込んで話す。

「ミズキがさ、お前のこと、あまり悲しませんじゃねえって、さ」

「ミズキが…?」

「そうだよ…俺、驚いた。ミズキがあそこまで必死で言ったのは、初めてだったよ…驚いた…」

 リョウは感嘆している。よっぽどすごい気迫で迫られたのだろう。しかしミズキはなぜそこまでやったのだろうか。それが分からない。

 リョウの話は続く。

「されでさ、俺も、気付いたよ。逃げてばっかだった。俺が、お前から、逃げてた。お前を見ようとせずに、いつも目をそらしてた。いや、そうすることしかできなかった。俺、お前を見ることができなかったんだ。全部、何もかも。お前といつも一緒にいたのにな。何でだろうな。俺、バカだな」

 リョウはまた思いつめ始めた。

「それで、俺…けじめをつけようと思う。今、ここでだ」

 夕焼けの陽は赤く、まだ高かった。公園で遊ぶ小さい子達が楽しそうだ。元気印そのものだ。

「俺、お前に言うよ。これだけはさ。絶対、言う」

 何を言いたいのか、分からない。もしかしたらと期待している自分がいる。

 リョウの口を開けた次の瞬間、私は時間が戻って欲しいと思った。

「俺、ルイが好きだ。今、あいつと付き合ってる」

 私は固まった。正直、こんな展開だとは想像できなかった。いや、想像しなかったのかもしれない。私の理性がそれを食い止めていたのかもしれない。

「お前のことも好きだ。でも、それは幼馴染でだ。だから、お前のことは親友以上にはなれない。俺、ルイが好きだから。あいつのことを、愛してる」
< 49 / 214 >

この作品をシェア

pagetop