シーソーゲーム
 今日は机の上にペットボトルと菓子パンで私自身を人生で一番寂しく祝った。そうすることで、もしかしたら何かをつかめるかもしれない。だがつかめるものなんて、どうせ何もない。自分を慰めるのはどことなく寂しい。

 本当にこんなことで、リョウとの関係はどうなるのだろうか。

 不安は増すばかりだった。

 誕生日から連絡はない。無論、年末年始もだ。リョウはどうしたのか。ますます心配になってくる。もう私の誕生日がどうだなんて言ってられなかった。リョウの身が心配で、始業式の前日、リョウの家の前まで買い物ついで、寄った。

 目の前まで来たのはいいのだが、どうしようか。

 私はリョウの家の前をウロウロとし、前を見てみると、リョウはいた。

「何だよ…さっきから」

 少し見ないうちに、やや太ったなと思った。上着を着て、その重みなの両肩はストンと落ちていた。風邪でも引いているのだろうか。

「風邪?引いてねえよ」

 鼻声でもないし、確かにそうなのだろう。

 だが風邪を誘う、沈黙が訪れた。冷たい風に押され、体を震わせた。

「中…入るか?」

 肌寒いし、暖を取りたかったが、入るのには少しためらった。どういう話をすればいいのだろうか。それが分からない。

 しかししばらくリョウの家に行っていなかったためなのか、リョウの部屋が懐かしく思えた。

「…うん」

 リョウの部屋にはストーブがあり、その上にやかんがある。どことなく幼馴染の名残がある。部屋はあまり変わっておらず、それが私の心を和ませた。

 リョウは唐突に言い出す。

「誕生日…悪かったな…用事が入ったんだ…」

 長く付き合っている私には、それが嘘だと分かった。嘘をつく時、決まって左の目元をぴくぴくとさせる。だがそれを信じたいと思った。リョウにも事情というものがあるのだろう。しかし明らかに分かったのは、それを信じることで、私は自分を保とうとしていたのだった。

「うん…別に…」

 年始に入ってから初めて会った。ほんの二週間ほど会っていないだけなのだが、一年も会っていないような錯覚が私の心を混乱させていた。
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