あの日のハイヒール




そんな事は

無いと思う





「だから、寝ろ。 いいな?」





有無を言わさないような


低い声を出されたら



はいって言うしかないでしょう?





「分かった。でも、洸も体を休めてよ」





「あぁ、分かった」




そう言って


マグカップに入っていた


コーヒーを飲み干し



余ったベットに転んでいる







背もたれにかかったタオルケットを




寝ている仁にそっとかける








さてと



あたしも言われた通り



寝ますかね





「おやすみなさい」



そう言って



照明の明かりを一つ暗くした






薄れていく記憶の中


洸の柔らかいこれが聞こえた気がした



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