blue moon
「はい」

相手が分からなかったから
少しよそ行きの声を使ってみた。


「乃亜ちゃん??」

中年の女の人の声だ。

聞き覚えの
あるような
ないような声。


「乃亜ですけど
どちらさまですか?」

実際は失礼な質問かもしれないが
考えても相手が誰だか
分からないから
仕方ない。

「おばちゃんだけど
分かる?」

そう言われて
ようやく相手が誰だか
気づいた。

母の姉に当たる
おばちゃんだ。

アタシの実家の近所に住んでいて
昔はよく行き来をしていた。

小さい頃は
本物の母よりも母らしい事をしてくれていた。
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