愛してもいいですか



もう、相変わらず一言多い!

だけど気持ちを伝えられた、そんな小さなことも変化の証で、少し嬉しい。……日向には、言ってやらないけれど。

そんな私に、日向は思い出したように言う。



「そういえば、明日のパーティのことはお聞きですか?」

「パーティ?」

「えぇ。取引先の記念パーティです。うちの会社はもちろん、宝井建設も招待されてるので、宝井社長もいらっしゃるそうで」

「へぇー…」



記念パーティ、ねぇ。

よくある創立記念などのパーティだろう。お父さんも来るんだ、顔見るの久しぶりだなぁ。



「主催は……あ、高台不動産ですね」

「え!!?」



すると書類を手に、資料を確認しているのだろう日向の言葉に、思わず声をあげてしまう。



た、高台不動産といえば……松嶋さんのいる会社じゃない。

まさかの偶然に驚く私に、日向は首を傾げる。



「どうかしました?あ……もしかして、噂の彼が高台不動産に勤めている、と」

「へ!?いや、あのっ……」

「だとしたら主催側ですし、お会い出来るかもしれないですねぇ。いやぁ、楽しみだなぁ」



って、私のバカ!わざわざ日向に教えるような態度して!

日向の言う『楽しみ』はきっと好奇心。私の選ぶ相手がどんな人なのか、そしてその人の前での私はどんな態度なのか、それらを見てみたいだけだろう。

にこりと見せる笑顔が、より一層胡散臭い。


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