愛してもいいですか
「あ、架代さん、寄り道してもいいですか?」
「寄り道?」
いいけど、と頷くと車はウィンカーをつけ曲がった。
そしてしばらく走ると、都内のはずれにある山道へと入り坂を登っていく。段々と薄暗くなる辺りに、少し不安にもなってくる。
「ひゅ、日向、どこいくの?」
「もう着きますよ」
こ、こんな暗い山道の向こうに何があるっていうのよ……。
はっ、まさか寄り道なんて口実で、ひと気のない場所で……。いやいやいや、秘書である日向がそんなことするわけない。ましてや社長の私相手によ?
……いや、でもこいつはいきなりナンパしてくるような男だし。軽いし、女好きだし。そう思うと余計、いやな想像しか出来ない……!
「着きましたよ」
「え!?あっはい!?」
ギッ、と停められた車に、日向はシートベルトを外し車から降りる。意味が分からないまま、それに続くように私もその場へ降りた。
こんなところでなにを……?
「日向?」
「架代さん、見てください」
ヒールで土を踏み、ゆっくり歩いて行く。すると木々が開け、目の前には一面に広がる東京の街の明かりたち。。
「わぁ……!」
暗い夜を眩しいほど照らす、ビル明かり。私たちがやって来たのは小高い山の上だったらしく、それらの光景を見下ろすような形でいる。