愛してもいいですか



「……あ、あの、松嶋さん」

「ん?」

「この前は、本当にごめんなさい!!」

「えっ!?」



勢いよく、テーブルに頭をガンッ!とぶつけながら頭を下げると、そんな私に彼はとても驚く。



「た、宝井さん!?そんな……」

「いえ!ごめんなさい!本当にすみませんでした!!」

「とりあえず頭を上げてください、ね」



慌てて頭を上げさせる松嶋さんに、ゆっくりと頭を上げると、コーヒーを持ってきた先程の女性店員が気まずそうにコーヒーを置いて去って行く。ふわりと漂う、コーヒーのいい匂い。



「この前は、その……本当に重要な用事で……会社にとっても一大事だったってことだけ、知ってほしくて」

「……はい」



どんな言葉も言い訳にしかならないかもしれない。けれど彼は穏やかに頷く。



「私、この前のことも踏まえて、松嶋さんの告白のこと考えてみたんです。でも……」



『結婚を前提に付き合ってほしいんです』

『好きなんです。宝井さんのことが』



その気持ちは嬉しい。だけど、譲れないものは譲れない。



「……ごめんなさい。私、松嶋さんとは付き合えません」



今度は真っ直ぐに顔を見て伝える私に、彼は真面目な顔でこちらを見る。


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