プリンセスは腕まくらがお好き
来栖さんの右手がシャツをまくり上げ、胸があらわになる。
急激に恐怖と羞恥を感じ、涙がにじんだ。

(わたしが悪いんだ……)

来栖さんの手がやすやすとブラのホックを外し、長い指が乳房へ滑り込んだ。

「あっ」

冷たい指が、胸に食い込む。
一瞬の息継ぎのあと、また舌が唇へ深く差し込まれる。

「んっ、んっ」

胸の頂きに、冷たい指が触れた。
胸を揉む荒々しさとは反対に、爪ではじくような、かすかな刺激だった。

「僕がいや?」

来栖さんの息が、耳へ熱くかかった。

「気持ち悪いかい?」

首を横に振る。

(でも、でもいや……っ)

ふっと来栖さんは軽く笑い声をもらすと、わたしを後ろ向きにして壁へ押し付けた。

「あっ、なに……っ」

そして後ろから抱きすくめるようにして腕を胸へとすべらせた。
瞬間、胸の頂きに強い刺激が走る。

「あっ、ぁ……っ」

後ろから抱きしめるようにして、両の乳首を強くつままれた。
耳へ来栖さんの舌が差し込まれる。

(あっ、だめ、もうなにもわからない)

来栖さんの固いものが、お尻のくぼみに押し付けられる。
両方の指が小刻みに快楽の源をつまむ。
その度に愉悦の声が漏れてしまう。

「だめ、くるすさ……っ、だめ……っ」
「どこがだめなの?こうされるの、好きみたいじゃないか」

耳元に直接、来栖さんの低い声が注ぎ込まれる。
片方の指が胸元から降り、スカートの中へ忍び込んだ。

「ほら、こんなに……」
「あっ……!!」

ストッキングの上から触られただけで、電気が走ったような衝撃だった。

(だめ、もう……)

そのとき、来栖さんの胸元で携帯が震えた。
一瞬彼の動きは止まったが、すぐにまた指はわたしへの侵略を続けた。

「んっ、いやぁ……っ」

布の上から、敏感な部分へ指が押し込まれると、大きく体がはねてしまう。

(どうしよう、これだけで……いっちゃう……っ)

そこで、来栖さんの指が離れた。

(え……?)

来栖さんの体が離れ、力の入らなくなった足下から崩れる。
しばらく肩で息を整えてから、来栖さんを振り返った。

「……すまない。すぐに戻らなくてはいけなくなった」

来栖さんはわたしを見下ろすでもなく、壁を向いて言った。
どうやら緊急の連絡だったらしい。

「……来栖さん、わたし……っ」
「この話は今度しよう。
いいか、うちはきみの企画で進める。それだけは分かってくれ」
「……はい」

服装を整え、わたしはデイリー製菓のロビーから出た。

西陽がかたむき、頬を熱く照らした。

足はふらつき、頭はまだ熱をもっていた。

来栖さんの指の感触が、固いものの感触が、まだ体に残っていた。

(どうしよう、わたし……)
(すごく、感じてた…………)

< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop