Secret Lovers
帰宅してすぐ、私は部屋に飛び込んだ。
幸い両親も兄もまだ外出中らしく、変な詮索はされずに済んだ。

「あーーーーー!やらかしたぁぁぁぁぁ!」

枕に顔を埋め、思い切り叫ぶ。
恋愛上級者なら、あんなにおいしい場面はなかっただろう。
とはいえ、うまい話題もなかったし、私にあの場で男子を虜にするような高等テクニックはなかったし、仕方ないかもしれない。

“でも、《仕方ない》じゃダメ!”

家に帰ったら落ち着こう、なんて考えていたのに、一人になった方がパニックになっている気がする。

“と、とにかく、優子に相談しよう!その方がいい!”

私は携帯を取り出そうと、カバンを手元に引き寄せた。
いつも同じ場所に入れているから、すぐに見つかるはずだ。
そう思っていたのだけれど。

「え、携帯……あれ!?」

カバンの中身をかき回してみるが、それらしきものはない。
制服のポケットも同じ。
最後に触ったのは理科実験室だったのは覚えている。
落としてきたのかもしれない。

“も、戻るべき?いや、でも、まだ周防奏多がいるかもしれないし……”

おそらく明日学校に行けば、三田が預かっているだろうから取りに行けばいい。
優子と話したい気持ちはあったけれど、明日の朝にでも遅くない。
今日はあきらめよう。
もやもやとした気持ちはあるけれど、私は本棚からラブコメ漫画を取り出すことで気を紛らわせた。
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