Secret Lovers
「先輩が有名じゃないなら、誰が有名なんですかねぇ。親衛隊とかあるし」

そう言うと、周防奏多の眉間に皺が寄った。
やばいと、少しだけ思った。
言い過ぎた。
さっき、この理科実験室に入る時の反応を見たら、親衛隊をあまりよく思っていないことはわかるのに。

「す、すみません」

とっさに謝罪の言葉が出る。
周防奏多は、眉間に皺は寄せたままだったけれど、少し意外そうにまだ私を見ていた。
居心地が悪い。
これではさっきと立場が逆だ。
再び反省文へ視線を落とすが、彼がまだこちらを見ているのをすごく感じる。

“怒ってる……!絶対、怒ってる!!”

顔をあげられない。
どうしてこう一言多いのだろうか。
この多い一言のせいで、親友とも変な約束してしまったことを忘れてしまっただろうか。

“いや、でも、ポジティブに考えたら、あれよね?無関心よりも嫌われてる方が、まだスタートライン?そういう漫画あったし……って、そんなわけないでしょ!”

パニックを起こした私は一心不乱にペンを走らせる。
早く埋まれ、原稿用紙。

「……君は……」
「書けた!」

今度こそ、と、私は原稿用紙を机に叩き付けた。
一刻も早くここから去りたい、そんな一心で片付け、「先輩、さようなら!」と最低限の挨拶だけ投げつけた。
周防奏多は一瞬私を止めようとするそぶりを見せたけれど、私はそれを無視して部屋を飛び出した。
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