カノジョノカケラ
「これからどうする?」

家も学校も忘れてしまっている飛鳥に、僕は何をすればいいのだろうか…。

「あの…。」

飛鳥が口を開く。

「記憶が戻るまでは、えっと…。」
「あ、そういえば僕の自己紹介がまだだったよね。僕は安堂太陽(アンドウ・タイヨウ)。さっきも言ったと思うけど、飛鳥と同じ高三。よろしく。」
「はい。…あ、それで、その…。」
「ん?」

飛鳥は言いづらそうにしていたが、勇気を出して言った。

「記憶が戻るまで、一緒に…暮らせませんか?」
「…え?」

僕は一瞬耳を疑ったが、飛鳥は本気らしかった。

「あ…やっぱり無理ですよね…。今のは忘れて下さい。」
「…。」

葉月のことを考えると、僕はしばらくこういうのは避けた方がいいのだろう。今はまだ、こんなことが出来る時じゃない。

…だけど、そうすると飛鳥の居場所がなくなる。

悩んだ末、僕は決めた。

期間限定で、飛鳥と一緒に暮らすと。
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