カノジョノカケラ

「どこかに名前書いてないかな…。」

かすかな希望を胸に、僕はベールを見る。すると、ある文字が書かれてあるのに気づいた。

「『ASKA CONDO』…？」

僕は最初、この文字列の意味が分からなかった。だがしばらくして、僕はこの文字の解読に成功した。

「『近藤飛鳥(コンドウ・アスカ)』…。」

僕は再び少女に話しかけた。

「近藤飛鳥さん…って言うんだよね？」

すると、再び少女の表情が変わった。コロコロ変わる少女の表情を、僕は面白いと感じていた。

「へ？…あ、はい…。」
「よろしく、飛鳥さん。」

普通は、初対面の時には名字で呼び合うはずなのだろうが、実は僕のクラスには近藤仁未(コンドウ・ヒトミ)というヤツがいる。だから下の名前で呼んだ、ただそれだけの話だ。

「それにしても、記憶がなくなってるなんてな…。」

僕はとりあえず、飛鳥さんがどこまで覚えているのかをテストした。

結果を言うと、飛鳥さん…飛鳥は僕と同い年だった。そして飛鳥は、一般常識以外のことは忘れてしまっていた。