赤と青の恋
「茜ちゃん?」
声をかけてきたのは健二だった。
「ビショビショじゃん、いつからいたの?」
「わからない」
「ちょっと中に入ろ」
誰も居ない病院の大きな待合室に腰かけた。
「コート脱いで、これ着て」
健二は自分のブレザーを肩に掛けてくれた。
「茜ちゃん」
「健二君のことは覚えていたよね、あとは?あと誰を覚えているの?」
質問が唐突なのはわかっていた。
「俺にも、どこまでかなんてに解らない」
「あ…ゴメンそうだよね」
「何故お見舞いに来なかったの?」
「私が居ても変わらないでしょう?
だから、アオの負担になりたくないよ」
「違う」
健二の口調は強かった。
「えっ!?」
「俺達が碧をサポートしないと、いけないんだ」
「…」
「碧の母ちゃんは、このままで良いと言った、でも碧はそれで幸せなのかな、茜ちゃんは良いの?」
「私はアオってもう一度呼びたいよ
もう一度抱きしめてほしい」
「そうだよな」
「うん」
「茜ちゃん、今から言うことは、少しキツいかも知れないけど」
「お願い」
「碧は、学校行かなくなったのは…」
「待って…私が言う」
瑞希が立ち尽くし俯いていた。