手をのばす
それから私たちは遅いランチに行くことにした。


場所を決めかねて、ぶらぶらと通りに面した飲食店を覗きながら歩く。

「どこに食べ行こうか」

「そんなにお腹空いてないから、軽くでもいいかな」

「あ、じゃあ沢渡さんのお店は?軽食もあったよね?」

少し先を歩いていた沙耶が振り返って言った。


一瞬詰まったけれど、変に隠すのもおかしいと思い

「あ、実は美容室に来る前にちょっと寄ってきたばかりなの」

と正直に伝えた。


沙耶の提案を黙って受け入れてまた沢渡の店に行ったとしたら、あの女性スタッフの目が気になってしまう。


その方がイヤだった。
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