手をのばす
自分を裏切るとき
土曜日、沙耶とデパートへ出かけた。


自分の愛用している化粧品メーカーのカウンターへ行き、沙耶に合いそうなものを熱心に選んだ。


「由紀子はこれがいいと思う?」

「そっか、じゃあやっぱりこれがいいかな?由紀子もこれ使ってるんでしょ?」


沙耶も本当に楽しそうだった。

顔が華やいでいた。


遅いランチを済ませ、今度は服を見に行き、お茶をしながらまたおしゃべりして。


「やっぱり由紀子といると楽しい」

会話の途中に時々そのフレーズが混ざる。



「私も」

微笑んでそう答えた。

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