手をのばす
思わず身を乗り出した。

きっぱりと沢渡を”あんな男”と形容する沙耶の意図が読めない。

でもそれは自分が最近沢渡に感じている寂しさと、関係があることを想像させた。


「あんな男って、沢渡くんのこと?どうしてそんなこと」

「あいつ、由紀子が思っているような男じゃないよ」

「え・・・・・・」


そこまで言って、沙耶はグラスをあおった。


「あいつ、あの店の女の子と付き合っているんだよ」
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