手をのばす
一瞬とまどったものの、

「ど、どうしたの?いつも沙耶はちゃんとメイクしてるじゃない。今さら私が手伝わなくても」

と私が言い終わる前に


「いいから!!早く」


と激しい口調で遮られた。


何が起こったのか、わからなかった。



いつもと違う彼女の様子に、私は呆けたようになり目を泳がせてしまう。



でも沙耶はじっと私を見つめている。

その強い意志を感じる目に、思わずたじろいだ。


「とにかく、入って」

と言うのがやっとだった。
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