手をのばす
沙耶は私を誰よりも親しい存在として感じているからこそ、これまでと違う面を見せたのだろうから。


もう、すぐ怖気づいちゃって、ああやだやだ。


「じゃ、あとは目ね。やっぱり目が重要なんだよねえ」


気を取り直した私は、ごそごそとポーチを探りながら言った。




「そう、やっぱり由紀子になるには目がポイントよね」



・・・・・・沙耶のこの言葉は、聞こえないふりをして。
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